ALTI芸術劇場 Vol.22

畑 儀文テノールリサイタル 日本における最高のドイツリート

2015年5月10日(日)

インフォメーション

公演名 ALTI芸術劇場 Vol.22
畑 儀文テノールリサイタル
日本における最高のドイツリート
日時 2015年5月10日(日) 15:00開演 (13:30開場)
会場 京都府立府民ホール アルティ
出演 テノール 畑 儀文
ピアノ マルッティ・ラウティオ
プログラム シューマン「詩人の恋」
シューベルト「白鳥の歌」
公演当日のおもてなし 12:30 呈茶サービス(プレミアム席の方のみ) ※14:00までの利用となります。
14:00 公演への誘い(プレトーク) トークゲスト:白石知雄(音楽評論家)
15:00 本公演
終演後 交流会(出演者も出席予定)、アンケート抽選会
料金 【全席指定・税込】
一般前売:4,000円 (アルティメイト優待価格:3,500円)
学生前売:2,500円(アルティメイト優待価格:2,000円)
プレミアム席前売:5,000円(アルティメイト優待価格:4,500円)
アルティメイト会員詳細へ
※当日500円UP
※プレミアム席は、音響的・視覚的に優れたお席です。日本庭園に囲まれた茶室にて
呈茶サービス(お茶・お菓子)付。(府民ホールアルティのみの取り扱い)
※未就学児の入場はご遠慮ください。※都合により曲目等が変更になる場合がございます。
チケット取扱 京都府立府民ホール   075-441-1414
京都府立文化芸術会館  075-222-1046
チケットぴあ   0570-02-9999(Pコード:252-266)
ローソンチケット   0570-000-777(Lコード:51725)
チケット発売日 アルティメイト優先発売 1月16日(金)10時より
一般発売 1月18日(日)10時より
お問合せ 京都府立府民ホール   075-441-1414
(9時~18時/第1・第3月曜日休館)
主催 創 <(公財)京都文化財団・(株)コングレ共同事業体>
助成 公益財団法人 ローム ミュージック ファンデーション【alti classic selection】

プロフィール

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畑 儀文(テノール) Yoshifumi HATA

兵庫県篠山市生まれ。大阪音楽大学大学院修了。1979年大阪にて、小林道夫氏の伴奏による初リサイタルを行う。以後テノールソリストとして、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団ホルン奏者ペーター・ダム氏との共演、イエルク・デームス氏の伴奏による数多くのリサイタル等で大きな成果をおさめた。1991年オランダ・アムステルダムにおいて、バロック歌手として高名なマックス・ファン・エグモント氏のもとで研鑽を積む。以後オランダ各地において、受難週には、エヴァンゲリストとして招かれ、近年はドイツ・ライプツイヒにおいてバッハ作品のソロを務める。また1993年~1999年にかけて、シューベルト歌曲全曲演奏を成し遂げ、国内外で話題を集めた。日本コロムビアからCD「日本のうた」「新しい日本のうた」「トスティ歌曲集」「昭和のうた」「美しき水車小屋の娘」をリリースし、その天性の歌声はジャンルを問わず心に響く感動を呼び、注目を集めている。「大阪文化祭本賞」「咲くやこの花賞」「大阪府民劇場賞」「坂井時忠音楽賞」「兵庫県芸術奨励賞」「兵庫県文化賞」等多数の賞を受賞。丹波の森国際音楽祭シューベルティアーデたんば音楽監督、関西フィルハーモニー合唱団コア・マイスター。

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マルッティ・ラウティオ(ピアノ)  Martti RAUTIO

シベリウス音楽院で舘野泉に師事。コンサート歴は30年で、現在では毎年約40回のコンサートを開催している。欧州や日本など各国でコンサートツアーを行い、フィンランドではラジオ・シンフォニー・オーケストラ、ヘルシンキ・フィルハーモニー・オーケストラ、タピオラ・シンフォニエッタなどの楽団で演奏している。現代音楽にも積極的に取り組み、エイナル・エングルンドやエイノユハニ・ラウタヴァーラなどから提供された曲の初演奏を行っている。主にフィンランディア、フーガ、フェスティーヴォのレーベルで、CDやラジオ放送の収録に数回参加している。キミト島ミュージック・フェスティバルのアートディレクター、シベリウス音楽院の室内楽講師。

公演レポート

ALTI芸術劇場 Vol.22

畑 儀文テノールリサイタル

2015年5月10日(日)、爽やかな晴天の下、生命溢れる御所の樹々の瑞々しい緑に彩られ、ALTI芸術劇場vol.22 畑 儀文テノールリサイタルが開催されました。今年は琳派400年の記念年ということで、プレミアム席限定呈茶サービスのお茶室に向かう通路には、尾形光琳『紅白梅図屏風』模様の西陣織を展示。ご来場いただいた皆様を、華やかにお迎えいたしました。

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御所の鮮やかな緑
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純金螺鈿漆箔緯錦織

プレミアム席の方にふるまわれる、抹茶と『とらや』の季節のお菓子。『とらや』と尾形光琳とのご縁のお話で、季節の味わいはさらに深みを増します。また、本公演演目のひとつである、シューマン『詩人の恋』についての、吉田秀和氏(音楽評論家)の評論記事のコピーが配布され、本公演にまつわるちょっとしたエピソードなどを、茶室でのゆったりとした時間の中で、楽しんでいただきました。

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中村昌生氏の設計によるお茶室
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椅子席にて呈茶のふるまい

そして、2014年12月開催のALTI芸術劇場vol.20 京都アルティ弦楽四重奏団で好評を博した、音楽評論家の白石知雄氏によるプレトーク。ドイツリートというものが、市民のための芸術として花開き、さらに、ドイツの教養ある市民による読書の文化が、ドイツリートの芸術を深めていったという、興味深いエピソードではじまりました。吉田秀和氏の著書、白石氏の恩師である谷村 晃氏の訳書、ウェーバーの楽譜、の3冊を使った参考音源を聞きながらの楽曲解説は、具体的で掘り下げられたものとなっており、本公演の楽しみ方を広げる充実の内容でした。

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【プレトーク】白石知雄氏(音楽評論家)
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白熱のプレトーク

さて、いよいよ本公演。まずはシューベルト最晩年の歌曲『白鳥の歌』。白石氏のプレトークでは、「晩年のシューベルトは、言葉に音楽が襲いかかることがある、という世界を打ち出したと見る新しい学者もいます」と紹介。芯のある繊細さで切々と歌い上げる、第4曲“セレナーデ”の歌声に、煌めきの世界を感じながら、『白鳥の歌』の中でも、音楽が拮抗するハイネの詩による歌曲部は、低音から高音まで幅広い音域を持つ畑 儀文氏の真骨頂。高い技術と表現力で聴かせてくれるテノールによる、第8曲“アトラス”の世界の深さと強さは圧巻です。ピッタリと息の合ったマルッティ・ラウティオ氏のピアノと畑 儀文氏とのテノールで、優しくも厳しい至極のシューベルトの世界を堪能させてくれました。

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【公演中(左から)】マルッティ・ラウティオ氏、畑 儀文氏
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【公演中】マルッティ氏と畑氏(シューベルト『白鳥の歌』第4曲)
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【公演中】マルッティ氏と畑氏(シューベルト『白鳥の歌』第8曲)
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【公演中】堅い信頼に結ばれた演奏後の握手

日本庭園が隣接するALTI。お庭を眺めたり、銘々音楽の余韻にひたりながら、暫し休憩時間を楽しまれた後は、いよいよシューマンの『詩人の恋』。「シューマンの歌曲において、ピアノは詩に語られていないものをピアノで語る。ピアノパートはまるで無言歌のよう」とプレトークで語った、白石知雄氏。前半のシューベルトとはまた違う世界が紡ぎ出されていきます。1曲目「美しい月、5月に」の1音目から、息をつく間もなくシューマンの甘美な世界へと誘うテノールの優美な響きと、1音1音が生きているかのように「語る」ピアノ。精緻で美しいシューマンの音世界を堪能できた貴重なひとときでした。

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【公演中】マルッティ氏(シューマン『詩人の恋』第1曲)
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【公演中】畑氏(シューマン『詩人の恋』第1曲)
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【公演中】マルッティ氏と畑氏(シューマン『詩人の恋』第16曲)
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【公演中】お互いの演奏に敬意を表した演奏後の抱擁

温かな賛嘆の拍手を浴びながら、お2人がアンコールで披露してくださったのは、日本歌曲。ドイツから一息に日本へ。しかし、そこにあったのは異文化の違和感ではなく、新しい日本歌曲の世界。ドイツリートの世界を究めておられる、畑 儀文氏とマルッティ・ラウティオ氏にしか表現できない、新しくも懐かしい日本歌曲の世界に触れることのできた、お2人からの贅沢なプレゼントでした。

アンコール曲

  • 「夏の思い出」(江間章子作詞、中田喜直作曲)

畑 儀文氏からご挨拶

みなさま、本公演にお越しいただき、誠にありがとうございました。もともとはバリトンとしてスタートし、テナーに転向、大学院ではオペラを専攻しながら、シューベルトとバッハに心奪われた、テナー界でも変わり種の私でございます。その私の今日の技術と表現の礎を築いてくれたのは、他ならぬシューベルトの歌曲です。昨今、ヨーロッパでもシューベルトを歌う歌手があまりみられなくなってきている中、今回、このALTI芸術劇場の企画でシューベルトを歌う事ができたことは、何よりの喜びでございました。今後はドイツリートで培った経験を生かした日本歌曲も、皆様に聴いていただきたいと考えております。また皆様にお会いできる日を楽しみに。温かなご声援をありがとうございました。

マルッティ・ラウティオ氏からご挨拶

今年も温かく迎えてくださり、ありがとうございました。集中して、礼儀正しく聴いてくださる日本のオーディエンスの皆様は、私にとって何よりありがたい存在です。音楽は演奏者だけが生み出すものでなく、オーディエンスのみなさまと共有する空間で、生み出されるものだからです。もちろんALTIの音に対する繊細かつ完璧な配慮がなければ、今回の演奏も不可能であったことは言うまでもありません。また、畑 儀文氏との音楽創りにおいては、お互いの信頼関係に基づいている故の自然さがあり、それは、理屈では決して作り上げることのできないかけがえのないものです。そして、何より私の心を打つのは、約200年の時を超えて、シューベルトが、畑 儀文氏とALTIの下田館長と白石氏と私を出会わせてくれたこと。彼の音楽がなければ、出会う事のなかった不思議な縁。私はそのことを思うと目頭が熱くなります。コンサートにお越しいただき、ありがとうございました。また、皆様にお会いできる日まで!

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【交流会より(左から)】白石知雄氏、畑 儀文氏、マルッティ・ラウティオ氏、下田館長
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【交流会より】演奏後の疲れも見せず笑顔で握手に応じる畑氏
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【交流会より】音楽の話となるとどこまでも熱い白石氏
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【交流会より】サインにも気さくに応じてくれるマルッティ氏

公演終了後は、エントランスホールでの、豪華プレゼントが当るアンケート抽選会や、出演者も参加の交流会に、多くの方々が集いました。ワインなどを嗜みながら、出演者のCDにサインをもらう方、公演について、音楽について、出演者と交流される方など、演奏の興奮が冷めやらぬ人々の熱気と、アットホームな雰囲気に包まれながら、コンサートの余韻をそれぞれに楽しまれていました。

次回、ALTI芸術劇場vol.23は、数多くのお客様からの再演熱望の声に答えた「加藤健一事務所 『滝沢家の内乱』」です。開催日は2015年8月22日(土)。皆様のご参加を心よりお待ちいたしております。

撮影:神谷 潔

ご参加いただいた方々からのメッセージ

  • いつも声楽を教えて頂いているので、今回のリサイタルはとても楽しみでした。ドイツ語も少ししかわかりませんが、感情などで曲の表情はとてもよくわかり勉強になりました。ありがとうございました。(10代 女性)
  • 畑さんも、ピアニストの方も最高のパフォーマンスをしてくれました。大満足です!!(20代 男性)
  • とても響きの良いホールで、ピアノの音もかろやかに響き、テノールの歌声も深く温かくやわらかく響いて、すばらしかった。(40代 女性)
  • プレトークでウェーバーを含めて解説されたのが面白かった。畑さんの声の響きが魅力的です。聴かせ所がたくさんあった。ピアノの響きも良く、歌とのバランスも良かった。(40代 男性)
  • 大変すばらしい表現力、それを可能にする豊かでさまざまな音色の出せる声。さすがです。日本人でもここまでのドイツリートが歌える事が感動です。やわらかさのある畑さんの声ならではのすばらしい演奏でした。(50代 女性)
  • 低音も高音も“アルティ”のホールに伸びやかにひびき、最高の時間を過ごせた。ありがとうございました。ピアノとのあうんの呼吸と、音のバランスも文句なく素晴らしかった。ピアノのp(ピアノ)、最高!! アンコールも良かったです。(60代 女性)
  • 人類最初の楽器は「こえ」。そして究極の楽器は「こえ」ーそんなことを考えながら拝聴しました。「うた」は、いいですね。にも増して、ピアノが最高でした。(60代 男性)
  • 畑 儀文さんのすばらしい声、とてもよかったです。母の日の思い出の1ページになりました。(70代 女性)
  • シューベルトとシューマンがそれぞれによかった。ピアノがほんとうに一体になって、ほれぼれした。(70代 女性)
  • ウェーバー、シューベルト、シューマンの歌曲の流れが良くわかった。畑さんのドイツ語がきれい。pp(ピアニッシモ)がやわらかくひびいた。『白鳥の歌』は知っている曲がいくつかあり、非常に参考になった。(70代 男性)

公演情報

畑 儀文テノールリサイタル 日本における最高のドイツリート

 アルバム

ALTI芸術劇場Vol.22 畑 儀文テノールリサイタル 公演日の様子

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